調査・取材

【医療ライター提案】虫歯・歯周病予防に有効な歯科医院の探し方

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「虫歯と歯周病を予防したい」「そのためにいい歯科医院を探したいのだけど、クリニックのどんなところを見るといいの?」

今回は、こんな疑問や関心を持つ人に向けて、2021年現在で213人の歯科医師を取材した医療ライターショウブ(@freemediwriter)が持論を話します。

わたしは2年半ほどの付き合いにあるかかりつけの歯科医院がありますが、ここと出合ったおかげで虫歯を予防したり、早期発見できたりする可能性が高まりました。

わたしが思う重要なポイントは、「歯科衛生士が活躍する仕組みをつくっているかどうか」です。

ほかにもこんな要素が挙げられます。

  • すぐに軽度の虫歯を削らない
  • 初診時に時間を取っている
  • 歯の状態を総合的に把握しようとする

「歯の状態を総合的に把握するとはどんなことか」など、詳しく書いていきますね。

歯の病気を防ぐために必要なこと

  • セルフケアを充実させる
  • 定期的に歯科医院でクリーニングをしてもらう

歯の病気を防ぐために有効な方法は、概ねこの2つだと思います。

日頃から丁寧にセルフケアを行い、定期的に(わたしの場合は3カ月~半年に1度)歯科医院でクリーニングを行ってもらうことです。

「いくら丁寧にセルフケアを行っていたとしても、自力で完璧に歯をきれいにするのは難しい。プロのわたしたちでもできない」

複数の歯科医師が話していたことです。

磨き残しがあると歯に歯垢(プラーク)がたまり、それが硬い歯石に変わり、虫歯や歯周病の原因になってしまうといいます。

歯垢は歯ブラシが当たれば取り除けますが、歯石は歯科医院で専用の器具を使わなければ除去できません

歯科医院での定期的な歯のチェックと専門的なケアが必要になってくるわけです。

虫歯予防に重要なのは歯科衛生士

じゃあ、どんな歯科医院をかかりつけにして、ケアを行ってもらうといいの?

今までの取材と患者としての経験から、わたしは歯科衛生士が活躍する仕組みをつくっているかどうかが重要だと考えます。

「歯科医院」というと、どうしても歯科医師が注目されがちですが、「真の予防の先生」は歯科衛生士だと思うんですね。

歯科衛生士

歯科医師の指導のもとに、歯および口腔疾患の予防のために歯石除去や薬物塗布を行い、また、歯科診療の補助、介助をつとめる職種。――ブリタニカ国際大百科事典

歯科治療を行うのは歯科医師ですが、歯科治療の多くは外科的なものになりますから、当然、内科のような「3分診療」は行えません。

歯科医師は治療に時間を取られがちなわけです。

しかも、健康保険が適用される診療の場合、保険点数の兼ね合いから、多くの患者を診ないと経営が安定しづらい傾向があると聞きます。

保険点数が医科よりも低いから、やっぱり患者さんの数をどれだけ診るかは重要

複数の歯科医師から聞いたことです。

健康保険が適用されない自費の診療に特化しているクリニックであれば別ですが、保険診療をメーンとする一般的なクリニックの場合、「歯科医師は治療で忙しく、それ以外に時間を割けない」という状況が起こりやすくなります

読者の方の中にも、「歯科医院に行ったら説明をあまりされず、すぐに治療をされて終わった」という経験があるのではないでしょうか。

わたしもこういった経験を子どものころから重ねていて、歯科医師を取材するようになるまでは、「歯医者は治療を受けに行く場所」でした。

歯科医院は予防のために通う場所

しかし、いい歯科医院に出合えて、患者自身も「歯を守っていこう」という気持ちがある場合、「歯科医院は予防のために通う場所」になり得ます。

歯を削って治療して、また虫歯が見つかって治療して。削っているときに痛みを感じるときもあって…。

こんなふうに治療を繰り返すよりも、継続的に予防していく方が体の負担や手間は減りますし、また長期的に見れば歯科受診にかかる費用も減る可能性があります。

予防する方がメリットが多いですよね。

そこで、着目してほしいのが歯科衛生士の働きです。

先述のように歯科医師は治療で忙しく、患者への予防に関するレクチャーには時間を取りづらいですから、その役割をしっかりと歯科衛生士が担っているクリニックは「いい歯科医院」とわたしは思うのです。

歯科医院を見る5つのポイント

  • 初診に1時間ほど取っている
  • レントゲン撮影だけでなく、歯周ポケットの測定や口腔内写真の撮影も行っている
  • 軽度の虫歯をすぐに削らない
  • 歯科衛生士が虫歯や歯周病の予防方法を教えてくれる
  • 口の中の異変を写真で見せてくれる

こういったことに取り組んでいる歯科医院であれば、歯の病気を防ぐためのかかりつけ歯科として機能しやすいのではないでしょうか。

3番目を挙げた理由は、虫歯であれば何でもかでも削ればいいわけではなく、「軽度であればセルフケアの充実などで進行抑制を目指せる」と歯科医師たちが話していたからです。

歯科医師の中には、「1本の歯への治療回数が5回を超えるとその歯を失いやすいので、いかに削らずに歯を保っていくかが大事」と話していた人もいました。

一方、歯科衛生士の動きに絞ると、下のようなことを行っている歯科医院は「虫歯や歯周病の予防に貢献するクリニック」とわたしであれば捉えます。

  1. 初診時に十分に時間を取り、患者の希望を聞き取るとともに患者の状態を総合的に把握しようと努め、その情報をもとに適切なアドバイスをする。
  2. フロスや高濃度フッ素(1450ppm)歯磨き粉、夜間用マウスピースの活用など、病気を防ぐための方法を具体的にわかりやすく伝える。
  3. 口の中に異常があったら、口腔内写真を撮ってそのデータをモニターに写し、目で見てわかる形で説明する。
  4. クリーニング時に患者の口に異変がないかをよく見て、何かあれば速やかにその旨を歯科医師に伝え、対応を検討する。

歯科衛生士がこんな役割を担い、歯科医師と連携が取れている歯科医院をわたしであれば勧めます。

歯科衛生士の発言や歯科医師との会話の様子を見ていると、「歯科衛生士がやりがいを持って仕事をしている歯科医院かどうか」は何となくわかると思うんですね。

歯科医師は患者とのコミュニケーションに時間を取りづらいですから、歯科衛生士がそこをカバーして患者と信頼関係を築けていれば、おのずと自費治療の割合も増えていくのではないでしょうか。

つまり、歯科衛生士の活躍が長期的には歯科医院の経営にもプラスになるということで、こんな形の運営をしている歯科医院は近年増えている印象を受けます。

「この患者さんにはこの歯科衛生士」といったように、歯科衛生士の担当制を採用しているところも増えていますね。

医科・歯科を問わず、医療の世界ではひと昔前に「コメディカル」と言われていた人たちの存在や役割が注目されていて、いかにしてチーム医療を充実させていくかが検討されています。

歯科業界では「かかりつけ歯科衛生士」が歯の病気を防ぐためのキーパーソンになる、というのがわたしの考え。

かかりつけ歯科衛生士に教わったことを下の記事に盛り込んでいますので、興味のある方は参考にしてみてください。

医療ライターの庄部でした。

記事内の情報、考え、感情は書いた時点のものです。

記事の更新情報はツイッター(@freemediwriter)でお知らせします。

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