健康本レビュー

医療ライターお勧めスキンケア本レビュー【美容常識の9割はウソ】

私たちがいつもやっていたスキンケアは実は間違いだった?

洗顔料で顔を洗った後に化粧水を塗り、乳液を塗布。女性だったらその後に美容液やクリームを使う人もいるでしょう。

『美容常識の9割はウソ』の筆者である医師は、こういった多くの人が実践しているであろう従来のスキンケアは間違いで、むしろ肌に悪いと言うのです。

驚く人も多いのではないでしょうか。

「私が何年、何十年もやっていたことは間違っていたのか…」

しかし、よくよくその理由を読むと「なるほど」「理にかなっていそうだ」と思わせてくれる内容。

この本、タイトルが過激なのですが、良書でした。

スキンケアに関心のある全ての人に読んでほしい本です。

それでは、医療ライターのショウブ(@freemediwriter)がレビューしていきます。

目次

『美容常識の9割はウソ』の概要

『美容常識の9割はウソ』は、タイトルの通り、スキンケアの常識に疑問と批判を示しつつ、筆者が考える「正しいスキンケア」を提案するものです。

扱っているテーマはかなり幅広く、内容が正しいのであればこれ1冊でスキンケアに関する基礎知識が網羅できる構成になっています。

スキンケアを考えるときに重要な「洗顔」「保湿」「UVケア」のそれぞれに関する商品の意味や正しい方法を説くだけではなく、下のテーマの意味や効果についても扱っていることから、その幅広さが想像できるのではないでしょうか。

  • 敏感肌
  • 紫外線
  • 石けんとボディソープ
  • 無添加化粧品
  • 防腐剤
  • 医薬品、医薬部外品、化粧品
  • オーガニック化粧品
  • マッサージ
  • ケミカルピーリング
  • スチーム
  • 静電気
  • ゴールデンタイム
  • シリコン
  • ヒアルロン酸
  • コラーゲン
  • セラミド
  • トレチノイン

筆者は形成外科の女性医師

この本を書いたのは、形成外科医の落合博子先生です。

ビジネス誌「PRESIDENT」によれば、落合先生は1991年に東北大学医学部を卒業後、形成外科や創傷外科での勤務を経て、2003年から国立病院機構東京医療センターで形成外科医長を務めているそう。

同センターのホームページによると、保有資格は下の通り。

  • 日本形成外科学会専門医
  • 日本創傷外科学会専門医
  • 日本抗加齢医学専門医
  • 皮膚腫瘍外科分野指導医
  • 国際森林医学認定医
  • 日本再生医療学会認定医

「形成外科」は一般の人にはなじみの薄い診療科だと思いますが、すごく簡単に言えば、「体にできたさまざまな傷をきれいに治すことを目指す診療科」です。見た目を重視して、「きれいに治そうとする」ことがポイント。

発行元のPHP研究所によれば、落合先生はおよそ30年にわたって形成外科医として患者の肌の悩みに向き合ってきた再生医療のプロであるといいます。

なお、『美容常識の9割はウソ』は落合先生初の著書です。

『美容常識の9割はウソ』の結論

先に、この本で落合先生が繰り返し語る正しいスキンケアの結論を書きますね。

最も大切なことは、肌本来のバリア機能を邪魔しないこと

そのためにはなるべく顔を触らず、「やらないスキンケア」を心がけること。

石けんとボディソープはいずれも使いすぎると肌トラブルを引き起こすリスクがあり、また化粧水は角質本来の機能を乱し、肌を弱めてしまう恐れがある。

そのため、

  • あまり触らない
  • 洗顔しすぎない
  • 保湿しすぎない

この3点が大事。

具体的には

  • ノーメイクや薄化粧の際は水かぬるま湯で洗顔
  • 洗顔料を使うときは石けんで
  • 洗顔後は化粧水を使わず、油分が入ったクリームや美容液、オイルで

そして、最大のアンチエイジング法である「日焼け止めを毎日塗る」こと。

以上です。

ボディソープで体を洗い、洗顔料で洗顔し、入浴後は化粧水と乳液を塗る。

男女ともにこんなスキンケアを行っている人が多いのではないかと思うのですが、「それはやりすぎ」らしいんですね。

衝撃的な内容ですが、こう言われてみると「なんとなくそうなのかもしれない」と思う人もいるのではないでしょうか。

落合先生がこう語る理由は後述します。

『美容常識の9割はウソ』の長所

この本のいいと思ったところと疑問に感じたところをそれぞれ紹介します。

  • 誠実に書かれている
  • 押しつけがなく読みやすい
  • 網羅性が高い
  • 1~2時間で読み終わる

まず「いいな」と思ったところは、誠実に書かれていることです。

全体的に主観と客観のバランスが取れている上に押し付けがなく(圧迫感がなく)、一般の読者心理を踏まえた優しい語り口で書かれていて読みやすいんですね。

冗長な部分がほとんどないのも特徴で、ぼくがスキンケアに関心があることも影響しますが、内容の9割を面白く感じました

200~300ページほどのボリュームを保つ必要がある本の構造上、どこかに「ダレる」部分が生まれてしまいがちですが、この実用書にはそれがないと思いました。

珍しいなと。

前にも書きましたが、扱うテーマが広くて網羅性が高いことがその要因でしょう。

文章も易しく、すらすらと1~2時間ほどで読み終えられます。

『美容常識の9割はウソ』のどうかと思う点

  • 根拠が示されていない箇所が散見される

健康や美容に関わる実用書を読んでいてよく思うのですが、この本も信頼性の高い情報なのかそうでないのかわかりづらいところがあると感じました。

筆者は「科学的根拠に基づいて書いた」と話していますが、その根拠が明示されていないところが散見されるんですね。

たとえば、「化粧水は不要」とする理由について筆者は「化粧水は角質本来の機能を乱し、肌を弱めてしまうリスクがある」と話しているのですが、なぜこう言えるのでしょう。

化粧品のデメリットについては「化粧品を肌に浸透させようとすると皮膚は異物への防御反応としてメラニンを集め、侵入部分を取り囲む。このことがシミの原因になる」とし、また「化粧品を肌に浸透させるための成分は、水分が蒸発する出口を増やす現象も引き起こす」と語っています。

さらに、「化粧品の影響で肌表面の皮脂が少なくなりバリア機能が弱まると、体内水分は蒸発、老化の一番の原因になる肌乾燥を招く。その乾燥を補うために化粧品で蓋をしなければならない悪循環に陥るほか、乾燥を補うために皮脂が増え、部分的オイリー肌になることもある」と続けます。

これらは全て医学的、皮膚科学的に明らかにされていることなのでしょうか。何らかの調査や研究によって確かめられたことなのでしょうか

もしそうなのであれば、こういった大事な箇所には根拠となる研究や論文の存在を記載してほしいと思いました。

内容を細かく書くスペースがなくても、研究や論文の名称が書かれていればあとで調べられるので、根拠がある部分には番号を振り、本の末尾に文献の一覧を載せてくれていれば、読者にもっと親切な本になったのではないかと思います。

もし、筆者がこのように断定している部分が筆者の持論や考えに過ぎないとしたら…。

この本の信頼性は大きく損なわれると思います。

筆者の考えなのであれば、「私はこう考える」「こう思う」と推測を示す表現でないと読者が誤解してしまいますよね。

「科学的根拠に基づいた」と書かれてありましたし、筆者の語り口などを踏まえたときに「信頼性が低くはなさそうだ」「参考にしていいのではないか」と感じたのでぼくはレビューを書いたわけですが…。

このあたりはもう、筆者の良心を信じるしかありません。

この本の参考になった箇所

続いて、ぼくがこの本を読んで「面白い」あるいは「参考になった」と思った箇所の要約を列記します。

こちらの内容はSNSに投稿した文章をまとめたものなので、文体は「この本にはこんなことが書かれていますよ」と紹介する三人称の形になっています。

先に挙げた筆者の結論の理由もここを読めばおよそ想像できるでしょう。

ぼくが面白いと思った箇所を網羅したので、項目が多く、また文章量も多いのでご留意ください。

気になったところだけかいつまんで読むか、後半に「正しいスキンケアの要約」を書くのでそこを先に読んでもいいかもしれません。

そもそも化粧品は奥まで届かない

体の防御機能として「最表面にある角質が最も重要」と筆者。

厚さは平均0.02ミリしかないが、健全であれば同じ厚さのプラスチック膜と同じくらい、水分を通しにくい性質があるという。

そのため、角質より奥深くに化粧品の成分が届くことは「そもそもない」

そして、肌トラブルが起きた時に「いつも思い出して」と筆者が強調するのが、肌本来の役割・バリア機能。

これが維持できていれば、肌は自ずと美しくなるという。

「表皮のターンオーバーは約6週間サイクルなので、乱暴な言い方をすれば、その間、肌機能を邪魔しないよう待てばいい」

健康肌は「皮脂」から

肌の表面は皮脂腺から出る天然の油・皮脂で覆われており、これが外部から異物が入らないよう生命を守っている、と筆者。

皮脂の膜が体内水分の蒸発を防いでくれているおかげで、肌はみずみずしくいられるという。

もし皮脂のバリア機能がなければ、入浴しただけで水が体内にどんどん浸透してくることになる。そんなことが起きたら、「命はいとも簡単に危険にさらされてしまう」。

「皮脂のバリア機能は、私たちの命に関わる大事な役割を果たしてくれているのです」

乾燥肌や肌荒れの原因は「洗いすぎ」

乾燥肌や肌荒れの大きな原因の一つは「洗いすぎ」と筆者。

人間の皮膚は通常、常在菌により弱酸性に保たれ、有害な菌が増えないようにできている。そして、その一種の表皮ブドウ球菌が皮脂をエサにグリセリンや脂肪酸を作り出し、皮膚のバリア機能を維持しているという。

健康な肌の場合、洗いすぎなければ皮脂が取り除かれたとしても2〜3時間内に再び分泌されてバリア機能が蘇るので「心配しなくていい」。

本来、洗顔後には何もしなくていいが、乾燥が気になるのであればオイルやワセリン、ヒルドイド、セラミドなどの保湿剤がお勧めだそう。

敏感肌の定義と対策

「敏感肌」は皮膚科学的には定義がなく、それ用の商品は各メーカーの基準で行われた肌テストから導き出された結論でしかない、と筆者。

「その化粧品が合わなかった人の数が他の商品のそれよりも少ない=低刺激性」という単純な論理で、相性の問題に過ぎないという。

敏感肌だと感じる人に勧めたいのは、「できるだけ使わないスキンケア」

肌がちくちくヒリヒリするのは肌が化粧品の成分に反応している証拠で、肌が弱いと感じるなら、同時に何種類も化粧品を使うのをやめ、肌の負担を減らすこと。

そもそも、敏感肌と呼ばれる症状の多くは、健康な肌に比べてバリア機能が低下していることから生じるという。

その一番の理由は洗い過ぎによる乾燥で、洗い過ぎで肌表面の皮脂が不足して角質が傷んでいるため、バリア機能がなかなか回復せず、慢性的な乾燥を引き起こすそう。

一方、「バリア機能の低下」を回復させるのは「難しくない」と筆者。

「余計な成分が入っていないワセリンやオイルなどを顔全体に塗り、バリアを作ってあげよう」

続けるうちに肌がバリア機能を取り戻し、角質の保湿因子や脂質が蓄えられ、自己回復力が蘇るという。

スキンケア用品の分類

①医薬品

病気の診断・予防・治療を目的としたもので、有効成分の効果を厚労省によって認められたもの。

②医薬部外品

厚労省認可の有効成分が一定濃度で配合されたもの。医薬品より効果が穏やかで、「防止・衛生」が目的。日本独自。

③化粧品

医薬部外品よりさらに効き目が穏やかで、「肌を健やかに保つ」目的で作られる。効き目を表記することはできない。

一方の医薬部外品は、有効成分の配合を証明するデータを厚労省に提出して許可を得ているため、効き目を明記できる。

医薬部外品の注意点

「化粧品よりも成分表示ルールが甘い」と筆者。

化粧品とは違って全成分表示が義務付けられていないため、厚労省に認められた有効成分以外は「ごまかしが可能とも言える」。

つまり、メーカーにとって都合の悪い配合成分を隠して売ることもできると。

化粧品の本当の意味

医薬品、医薬部外品、化粧品の特徴を知ると、「何を選んだらいいかわからなくなるのではないか」と筆者は問いかけ、「そんなときは化粧品を使う本来の目的を思い出して」と続ける。

化粧品は治療するためのものではない。肌や髪を清潔に保つことが目的だと。

「だから何かに劇的に効くことをそもそも期待してはいけない」

スキンケア商品は使用感が心地よく、楽しめるものが一番であり、使うことで自分が満たされて気持ちいい、それこそが化粧品の役割、というのが筆者の考え。

「無添加化粧品」の表記は無意味

「無添加化粧品」は1980年の薬事法改正により誕生。

厚生省が1970年代に起こった化粧品トラブルの症例をもとに、アレルギーや皮膚炎、発がんなどの皮膚障害を起こす可能性がある約100種の成分を「表示指定成分」と定め、化粧品への明記を義務付けたという。

防腐剤や紫外線吸収剤、合成界面活性剤などの表示指定成分を含まない製品の登場が無添加化粧品の始まりで、当時、多くの女性に支持され「無添加」は安全・安心の代名詞になったという。

しかし、2000年の法改正で全成分の明記が義務付けられるように。

現在、「無添加」の表記には法規制がなく、メーカーが各々の判断で「ある成分の排除」を強調する場合に使っている。

多くは「旧指定表示成分」不使用の化粧品を指すが、同成分で安全なもの、同成分以外で安全でないものがあるため、表記自体は「ほぼ無意味」

防腐剤は悪いものではない

スキンケア製品の多くは水と油を乳化させてできている。油は酸化するので、腐らせないために防腐剤は必要と筆者。

1980年代に表示成分だったパラベンなどはいまだに避けるべきものと思われているが、現在は微生物の増殖を防ぐ安全な防腐剤だと認められているという。

オーガニック化粧品にはリスクがある

オーガニック化粧品について、日本では認定基準がないためリスクがあると筆者。

海外では政府・認定機関による厳しい基準を満たさないといけないが、日本ではオーガニック植物成分を1種少量配合しただけでも「オーガニック」をうたえる。

つまりメーカーの自己判断に終始する

「天然由来」「植物エキス」とスキンケア商品に書かれているとつい安心・安全と思いがちだが、「その感覚は間違っている」。

天然=「何が入っているかわからない」であり、未解析・毒性・アレルギー原因成分の混入や品質のばらつきが可能性として考えられるとのこと。

合成成分は悪いものではない

スキンケア商品の成分に「合成」とつくとなぜか肌に良くないイメージがあるが、「そんなことはない」と筆者。

合成成分は自然界の薬効成分を特定、それを化学的に作り出したもの。一つの成分にフォーカスし生成されたものなので、未知なものを含む「天然」よりむしろピュアだという。

紫外線の悪影響と良い影響

紫外線を長年浴び続けることで起こる肌の老化を「光老化」といい、浴びた量が多いほど、くすみ、しわ、たるみが生じやすくなる

しかしその一方で、「紫外線は健康維持のために不可欠」であり、体内でビタミンDを生成するのに役立つ、ひいては骨の生成と体内時計の機能に生きるという。

UVAとUVBの違い

紫外線は波長の長さによってUVA、UVB、UVCの3種類に分けられる。このうち地上まで届くのは前の2つで、日焼けを引き起こす力はBの方がAより600〜1000倍強いという。

UVA…波長が長く光老化の原因に

UVB…肌の浅いところで炎症、水膨れ、色素沈着の原因に

日焼け止め成分の詳細

「紫外線吸収剤」はUVBを吸収して熱エネルギーに変え、排出する役割を持つ。

強い遮断力が必要な場合は効果的だが、化学反応を起こすため肌が弱いとかぶれる可能性がある。

かぶれなければ、使うこと自体には何の問題もないという。

一方の「紫外線散乱剤」は酸化チタンや酸化亜鉛が主な原料で、金属成分の粒子が光を跳ね返すため、UVAとUVB双方に効果がある。

散乱剤だけを使った製品には「ノンケミカル」や「紫外線吸収剤フリー」と記載。日焼け止めで赤みや痒みが起こったらこれらの商品に替えると良いそう。

「SPFは高いほどいい」は思い込み

筆者はSPFの値と紫外線の防御率の関係を示したグラフを紹介。

「SPF15の日焼け止めを使った場合、UVBを93.3%防御できている。その後のカーブは緩やか。つまり、SPF15以上になると紫外線の防御率はほぼ変わらない

PAの意味

UVBへの防御効果を示すSPFに対し、UVAに効果を発揮するのがPA。

「+」が多いほど効果が高いとされるが、これは日本独自の分類評価でもある。

数値が高いものを選んだ方が安心だが、紫外線の影響を受けやすいかどうかは個人差があり、肌質や肌の色でかなり違ってくるそう。

日焼け止めの結論

「どれを選ぶか」よりも「こまめに塗ること」の方が大事、と筆者。

屋外で過ごすなら2〜3時間ごとが基本。乗せるようにつけると効果的だという。

アメリカのFDAではSPF15の製品を日に当たる15〜30分前につけ、2時間ごとに塗り足すことを推奨していると。

FDA…食品医薬品局(Food and Drug Administration)の略。日本の厚生労働省と似た役割を持つ機関で、食品や医薬品、化粧品などの認可や違反取り締まりなどを行う。

マッサージは逆効果

顔のたるみへのマッサージは「形成外科医の立場からすると全くの逆効果で、たるみ・くすみ・黒ずみの原因になってしまいます」。

肌のはりを保たせているのは皮膚を支える繊維組織であり、マッサージで押したり揉んだり引っ張ったりすると、この組織が壊れてしまうという。

肝斑の原因と予防法

両頬にできるシミ「肝斑(かんぱん)」について、最近では肌への摩擦が主な原因と考えられていると筆者。

左右対象に黒ずみができることが多いので、洗顔時や化粧品をつけるときに対称に顔を触わることと関係していると。

「治療方法はやはり触らないことです」

ケミカルピーリングは美肌を期待できる

ケミカルピーリングは「薬品を塗って角質の表面を剥がす」と思われがちだが、実際は化学反応を利用して肌のターンオーバーを早めるもの。

個人差はあるが、正しく治療を行えば本来のきめ細やかでハリのある肌が蘇る効果も期待できると思う、と筆者。

スチームに保湿効果はほぼない

保湿のためのスチームは「使いすぎると逆効果」と筆者。

蒸気を顔に当てることでの保湿効果はほぼなく、すぐに水分は蒸発するという。

長く当てると角質層の構造が乱れて層深部の水分が蒸発するため、乾燥を招く可能性がある。雑菌で肌荒れを起こすリスクも。

静電気は肌トラブルの原因になる

静電気の刺激は肌の角質を傷つけ、バリア機能の低下や炎症を引き起こすことがあるという。

静電気によってハウスダストなどの微細な汚れが肌について毛穴に入ってしまうと、ニキビの原因になってしまうことも。

対策としては、衣類の素材を化学繊維やウールではなくシルクやコットンなどの天然繊維にし、室内を加湿すること。

アレルギーの原因となる埃は静電気で発生するが、静電気は内装の石油化学製品で起こるため、内装は自然素材の方が良いとのこと。

ゴールデンタイム睡眠=美肌は根拠なし

「ゴールデンタイムの睡眠が美肌をつくる」は根拠なし、と筆者。

午後10時から午前2時までに成長ホルモンがよく分泌されるため、この時間帯に寝るのが肌にもいいと言われるが、医学的な根拠はないという。

成長ホルモンは何時に寝ても入眠直後に分泌されるとのこと。

シリコンの悪影響も根拠なし

シャンプーやコンディショナーに含まれるシリコンが毛穴に詰まって抜け毛やダメージ、臭いの原因になると言われるが、これも医学的な根拠はないという。

シリコンは安全性が確認されている化合物で、肌に優しい優れものとして医療用の肌テープなどにも普及しているそう。

不安を煽る情報に惑わされる必要はなく、「毛髪同士の摩擦を和らげたり、艶を与えたりするのは事実」と筆者。

シリコン入りとノンシリコンのどちらを選ぶかは個人の好みだとのこと。

「頭皮は強い」は間違い

「頭皮はなぜか顔などの肌に比べて強いと思われがちだが、そんなことはない」。

  • 爪を立てない
  • こすりすぎない
  • 1日に何度も洗わない

肌機能を生かすなら、シャンプーでの洗髪は週に2回で充分だという。

ヒアルロン酸は保湿力を落とす

ヒアルロン酸は保水して膜を作るが、これはヒアルロン酸自体に起こる作用。肌に水分を与えているのではないという。

保水膜が常に角質に触れている状態は生理的ではないので、角質層の構造が崩れて肌本来の保湿能力が落ちてしまうという。

コラーゲンは食べても増えない

コラーゲンを食べても体内でアミノ酸などの小さい分子に分解されるため、それがコラーゲン生成に活用されるとは限らないという。

一方、ビタミンCはコラーゲン生成に役立つので、コラーゲンを食べるよりビタミンCを摂取した方が効率的であるそう。

シミやシワ、ニキビに効くトレチノイン

トレチノイン(レチノイン酸)は近年、その効き目が実証された成分だという。

表皮細胞をどんどん分裂・増殖させ、皮膚の再生を促す、つまり肌のターンオーバーを活性化すると筆者。

この際、表皮の深い層にあるメラニン色素も外に押し出す(約2〜4週間後)ため、シミに効果的

また、ターンオーバーが活性化することで毛穴がふさがりにくくなり、皮脂腺の働きを抑える作用があるためニキビ治療にも有効で、肌のコラーゲン増生を促す数少ない薬でもあるため、肌にハリを戻す、つまりシワにも効果が見込めるという。

このようにトレチノインの効果は大きいが、一方で強力な薬剤であるため、反応性の皮膚炎が起こるそう。

赤みが出たり、角質がポロポロ剥がれたりするため、充分な保湿が必要。

これはアレルギー反応ではなく効いている証拠なので問題ないが、やはり医師の指示のもと経過を見つつ使用した方が良い。

米国ではFDAに認可されたポピュラーな治療薬だが、日本ではまだ認可されていないため医師に処方してもらう必要がある

化粧品に配合されている「レチノール」にその効果がうたわれることがあるが、これはビタミンAの別称。効果は100分の1ほどで、トレチノインのような効果は期待できないという。

セラミドは肌のバリア機能を作る

セラミドは角質層に存在。水にも油にも馴染まない特殊な性質を生かしつつ細胞と細胞の間を埋めている(細胞間脂質)ため、体内から水分が蒸発するのを防ぐとともに、外部刺激から肌内部を守るという。

歳を重ねるごとに減ってしまう成分であり、不足すると肌が乾燥してシワやたるみができるほか、バリア機能そのものも低下してしまうそう。

ただ、セラミドは化粧品の成分が浸透しやすい角質層に存在しているので、スキンケアで補うことが可能

ホクロの治療

ホクロはメラニンを含む母斑細胞の集合。皮膚の表皮にできるシミと違い、より深い真皮にできる。

なくす方法はメスでの切除かレーザー照射だが、後者の場合、表面の色素を除去して目立なくしているだけで、同細胞は残っているので、再発することもあるという。

正しいスキンケアの要約

化粧品は使うほど効果が出づらくなる

医師が医薬品を処方する場合、同じ部位に何種類も出すことはない。各成分が互いを阻害し合い、結局どの成分の効果も得られない結果になりがちだから。

化粧品も同時並行でいくつも使うのは「勧めない」。

化粧品成分は少ない方が良い

正常な肌は本来、何もしなくても新陳代謝によって美しく生まれ変わるシステムを持っている。「肌につける成分はできるだけ少ない方がいい」と筆者。

さまざまな成分を使うほど、肌機能が乱され、アレルギーなどが発生するリスクも高くなるという。

そこで筆者が勧めている方法は「美容液かクリームの1点だけ使うこと」。

化粧水は原則必要ないという。

この方法により、肌のターンオーバーを邪魔せず、バリア機能の障害も少なく、肌をより自然に近い形で保護してくれるそう。

接触や摩擦は肌機能を阻害する

「肌はできるだけ触らないことが大事」と筆者。

接触や摩擦はどの程度であれ刺激になり、肌本来の機能を邪魔する恐れがあるそう

よって、マッサージやパッティングは「お勧めできない」。

洗いすぎの悪影響

洗いすぎると肌は傷ついてしまう

肌に汚れがついても新陳代謝によって剥がれ落ちるので、目に見える汚れがあるとき以外、「水やぬるま湯ですすぐ程度で充分」という。

医師である筆者の洗顔回数は週に2回ほどとのこと。

石けんとボディソープは使いすぎに注意

石けんとボディソープはいずれも、使いすぎると皮膚トラブルを引き起こすと筆者。

「ノーメイクや薄化粧の場合は、水かぬるま湯だけでOK」

体もお湯で流す程度で充分で、目に見えて汚れていたり体臭が気になるときだけ洗浄剤を使おうとのこと。

その上で、肌への刺激を考えると「石けんの方がお勧め」と話す。

肌は弱酸性なので、弱アルカリ性の石けんは皮膚上で中和、界面活性剤としての効果はすぐ失われる。

つまり、皮脂を取りすぎてしまうリスクは少なく、肌のバリア機能が壊されることもない。

一方のボディソープは石けんとは違って界面活性剤としての効果が消えにくいため、肌のバリア機能を破り、肌表面を傷つけてしまう可能性があるそう。よく洗い流す必要があるという。

また、「弱酸性」の商品が肌に優しいエビデンスはまだないとも。

化粧水にはリスクがある

「化粧水のメリットはあまりない」

化粧水をつけた後のしっとり感の正体は、化粧水にほんの少し含まれている保湿成分であり、肌自体が潤っているわけではないという。

時間が経てば、肌は元通り乾燥してしまうとのこと。

「肌が潤う」=「肌表面の角質層で水分が適度に保たれる」であり、角質層はもともと、水分や油分を適切に保つ機能を持つ。

化粧水はこの角質本来の機能を乱し、肌を弱めてしまうリスクがあるそう。

保湿剤は皮脂に近い成分を

角質層は肌が作る天然のクリーム「皮脂」で保護されている。洗顔で皮脂は落ちるので、後に補うべきは化粧水ではなく「皮脂に近い成分」と筆者。

油分が入ったクリームや美容液、オイルの方が良いという。

日焼け止めは毎日塗ること

肌老化の原因の8割が紫外線だと言われているため、「日焼け止めを毎日塗る」というシンプルなケアが自分でできる唯一最大のアンチエイジング方法、と筆者。

UVA…皮膚の奥に届いてシワやたるみの原因に

UVB…色素沈着を起こすのでシミや黒ずみの原因に

正しいスキンケアの理念

スキンケアは「やる」よりも「やらない」方が実はずっと効果的だという。

  • あまり触らない
  • 洗顔しすぎない
  • 保湿しすぎない

「こんなケアを続けていくと、敏感肌や乾燥肌は1カ月半もすれば改善が見えてくると思う」と筆者。

正しいスキンケアの方法

まずは洗顔を石けんに。ノーメイク・薄化粧なら水やぬるま湯で。

洗顔後は化粧水を使わず、オイル、ワセリン、セラミドなどの脂質やヒルドイドなどの保湿剤を。

化粧水・乳液・美容液・クリーム→美容液かクリームにするなど、少しずつ減らすのが肝。

『美容常識の9割はウソ』のまとめ

本の要約を少しでも読んでもらえれば、この本の面白さが想像できるのではないでしょうか。ぼくは目からウロコがボロボロ落ちました。

「大切なことはシンプル」なのかもしれませんね。

根拠が示されていない箇所が散見されるため、この本に書かれていることを妄信してはいけないでしょう。

「一人の医師の考え」として、参考にしながら自分で実践する。自分の頭で考えて自分なりに方法をアレンジしていくことが重要だと思います。

そして、筆者も言うように、肌トラブルが長く続くようであれば自力で何とかしようとせず、皮膚科医に相談すること。

こんなふうに留意することはありますが、良書だと思いました。

すごく面白かったです。

医療ライターの庄部(@freemediwriter)がレビューしました。

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