医療・健康×体験

「16時間断食」を3カ月体験したライターの感想【メリットが多い】

健康的な食事の内容はわかった。じゃあ、健康的な食事の回数はどうなんだろう。子どものころから「1日3食」とは聞いてきたけど…

会社員に比べて健康の損失が収入の減少に直結しやすいフリーランス。わたしは2016年に独立してからリスクヘッジのため、健康に関する情報を集めてきました。

健康的な食事の内容は下の2冊でおよそわかりました。複数読んだ中で信頼性が高そうだと思ったのがこれらです。

【要約と感想】『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』医師の津川友介氏が書いた『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』を医療ライターがレビュー。良書です。...
【要約と感想】『食事のせいで、死なないために(食材別編)』医療ライターが米医師マイケル・グレガーさんの著書『食事のせいで、死なないために(食材別編)』をレビュー。健康的な食材について広く深く知れる良書です。...

では、食事の回数はどうなんだろう。

そんな疑問を抱える中、「16時間断食(ファスティング)」が健康に良い、という情報を得たので実践しました。

細胞の新陳代謝を促すことで病気の予防やアンチエイジングなどに効果があるそうですが、実際の体感はどうか。

今回の記事では、16時間断食が健康に良いと言われる理由を踏まえつつ、この断食に3カ月間取り組んだライター庄部(@freemediwriter)が感想をレポートします。

デメリットよりもメリットの方がとても多いので続けていく

これが現在の結論です。

※この記事は「断食1カ月後の状態と感想」をリライトし、3カ月後の情報を追記したものです。

16時間断食とは

「16時間断食」とは文字通り、1日24時間のうち16時間は食べないことを意味します。水分は摂取して構いません。

わたしのスタイルでもありますが、たとえば夜の午後7時に夕食を食べ終えた場合、それから16時間後の翌日午前11時までは食べないようにします。

16時間断食に関心を持った理由

16時間断食に関心を持った理由は

  • 日本の医師が「健康に良い」と話していた
  • 老化研究の世界的権威が健康維持の方法に「食事の量と回数を減らすこと」と「間欠的断食」を挙げていた

この2点です。

日本の医師とは、「あおき内科さいたま糖尿病クリニック」(さいたま市)院長の青木厚氏のこと。「世界的権威」とは、ハーバード大学医学大学院遺伝学教授のデビッド・A・シンクレア氏のこと。

簡単に2人の考えを紹介しますね。

青木氏が16時間断食を勧める理由

青木氏はメディアの取材に、16時間断食には以下の効果があると答えています。

  • 病気の予防
  • 免疫力の向上
  • 疲れにくくなる
  • アンチエイジング
  • ダイエット

その理由は、人間の体に備わっている「オートファジー」というシステムが活性化すること。

オートファジーとは、人体の細胞が新陳代謝を図り、古い細胞を新しい細胞に生まれ変わらせるシステムのことで、飢餓状態に陥ると活性化するといいます。

オートファジーの仕組みは東京工業大学の大隅良典栄誉教授が仕組みを解明、2016年にノーベル医学生理学賞を受けたことでも知られているそうです。

青木氏によれば、このシステムが活性化するのが食後12時間以降で、16時間経つと「ほぼ確実に作用する」といいます。

わたしも読みましたが、16時間断食のメリットについては青木氏が自著『「空腹」こそ最強のクスリ』で詳しく語っています。

シンクレア氏が間欠的断食を勧める理由

一方のシンクレア氏は、米国でベストセラーになり、世界20カ国以上で刊行されている自著『LIFE SPAN(ライフスパン)―老いなき世界』でこう語っているそうです。

私は約25年にわたって老化を研究し、何千本という科学論文を読んできた。そんな私からのアドバイスの一つは、「食事の量や回数を減らせ」である

長く健康を保ち、寿命を最大限に延ばしたいなら、それが今すぐ実行できて、しかも確実な方法だ

東洋経済オンラインが本の要約記事を出していました。

食事の量と回数を減らすことで、「生命に備わっているサバイバル回路が始動し、『原初から行ってきた仕事をせよ』と長寿遺伝子に命じることができる」とシンクレア氏は言い、結果的に、「病気や体の劣化を防ぎ、老化を遅らせる」としています。

そこでシンクレア氏が注目しているのが、「間欠的断食」だそうです。

間欠的断食とは、食事の量を普段とは変えず、食事を抜く期間を周期的に差し挟むもの。青木氏が勧める16時間断食もこれに該当します。

シンクレア氏は間欠的断食について、「短期的な研究からは期待のもてる結果が出ており、長期的な研究でも同じだろうと思う」とし、「栄養失調にならない程度の間欠的断食法であれば、たいていは長寿遺伝子を働かせることにつながる。そして、長く健康な生涯をもたらしてくれるといってよさそうだ」と結論付けています。

ライター庄部の16時間断食の概要

では、実践レポートに移りましょう。

わたしが行ったのは先述の通り、午後7時までに夕食を済ませ、以降、翌日の午前11時までには食べない、というもの

夕食を終える時間が午後8時になれば翌日は正午まで食べない、午後9時だったら翌日午後1時までは食べない、といったように場合によっては時間を調整しました。

これを、2020年10月27日に始めました。

16時間断食1カ月後の感想

まずは1カ月後の感想を書きますね。内容はシンプルです。

つらくはない。デメリットに比べてメリットの方がとても多いので続けよう

詳しく書きます。

16時間断食で感じたメリット

  • 1日2食になり活動時間が増えた
  • 食べすぎが減った
  • 食費が少し減った
  • 食べる喜びが増した
  • 膨満感が続くようになった
  • 食後の眠気とだるさが減った

1日2食になり、活動時間が増えた

16時間断食に取り組むまで、わたしは朝、昼、夕と1日3回食事をしていました。

断食を始めてからは上に書いた通り、午前11時~同15分に1回、午後6時半~同7時に1回と、1日2食になりました。

起床後に食べない分、仕事開始が早くなり活動時間が増えたのは良かったですね。

わたしはいつも、朝起きてから日を浴びた後に簡単に部屋を掃除し、顔をすすぎ、白湯を飲みつつiPadで新聞電子版の記事見出しをざっと読んでから仕事スタート。

この流れに「食事」を挟まないようになったので、起きてから20分後には仕事を始められるようになりました。

わたしの場合、1日のうちで最も集中力が高いのは午前中なので、これは良かった

「朝ご飯を食べないと力が入らない」という情報を過去に何度も見聞きしてきましたが、そんなことはありませんでした。

食べすぎが減った

これも良かったです。

16時間断食を継続していると、必然的に食べすぎることがなくなります

わたしの場合、たまに飲み会などで「午前11時~午後7時までに食事を済ます」という習慣を守れないときがあります。

そうであっても「食後16時間は食べない」というルールは継続されるわけですから、食べ終わったのがかりに夜の12時になった場合、次に食べていいのは翌日の午後4時以降になります。

そうなると、その日は夕食の1食のみになります。いつもは午前11時以降に食べていた食事がなくなるので、自動的に食べすぎを防げます。

わたしは16時間断食に取り組む前、飲み会などで食事の量が増えた日の翌日も1日3食変わらず食べていたので、これは良い変化でした。

結果的に、少額ではありますが、食費も減りました。

食べる喜びが増した

1日1食減るだけでも、食べる喜びが大きくなりました。

食べない時間が長くなった分、“食事の非日常性”が高まったんですよね。

「食べることは特別なことで、1日の中のイベント」

ちょっと言いすぎかもしれませんが、これに近い感覚が生まれて、食べるときの「さあ、食事だ」という気持ちが強くなったのです。

さらに、食べ物がよりおいしく感じられるようになり、味覚や食感の感度もより鋭敏になったような気がします。飽食の時代においては貴重な体感かもしれませんね。

膨満感が続くようになった

これは不思議でした。

どんなメカニズムなのかわかりませんが、食後の膨満感(お腹が膨れている感覚)が以前よりも長く続くようになりました。

食べてから眠るまでの時間が長くなるから、その間にお腹が減ってしまってきつそう

わたしが16時間断食に取り組んでいることを人に話したらこんな反応が返ってきたことがあります。

夜の7時から就寝する12、1時までにお腹が減るのでは? と疑問に感じたらしいのですが、わたしの場合、この5、6時間の間に「お腹が減った」と感じたことはなかったように思います。

少なくとも、夕食後にお腹が減って何かを食べたことはないんですね。

食後の眠気・だるさが減った

これも良かったことです。

以前までのわたしは夕食後にソファに寝転がっていると、眠気やだるさを感じてぼおっとすることがありましたが、それが減りました。

「完全になくなった」とは言えませんが、明らかにその頻度と程度が落ちました。

以前、夕食の後に少し眠ってしまい、夜の寝つきが悪くなることがあって「これは良くないな」と思っていたので、そのリスクを減らせたのは良かったですね。

食後の日課である読書の際の集中力も落ちにくくなりました。

16時間断食で感じたデメリット

開始1日目は少しきつかった

16時間断食で感じたデメリットはほとんどありませんが、しいて挙げるとすれば「初日が少しきつかったこと」と「排便のタイミングが遅くなったこと」でしょうか。

開始前日の食事終了が午後9時だったので、1日目に食べていいのは午後1時からだったんですね。

16時間も物を食べないことが初めてだったからでしょうか。

そもそも断食に原因があったのかもわかりませんが、正午を超えてから集中力が低下して(仕事をしていました)、体がだるくなりました。

食事のリズムが変わったからか、その日はなぜか夕食後もだるさを感じました。

ただの風邪だった可能性も否定できませんが、16時間断食の初日はいつもとは違う感覚を味わったことは確かです。

しかしそれも初日で終わり、2日目以降になってからはこれといった問題はなく、むしろ体が少し軽くなったと感じるくらいでした。

排便のタイミングが遅くなった

もう慣れましたが、排便のタイミングがずれたのはちょっと気になりました。

わたしはそれまで午前8~9時の朝食後に便意を催して排便していましたが、16時間断食を始めてからそれは11時以降の食事後になりました。

朝にうんこが出ない――。これはなんだかすっきりしないものでした。

朝にうんこがちゃんと出ると、「よし、今日もいい1日が切れそうだ」とスイッチが入るような気がしていましたが、それがないともやっとした感じ。

胃に食べ物が入ることで腸が運動を始めるとは聞いたことがありましたが、本当にそうなんですね。

とはいえ、今はもう慣れました。

1日における便の量と質は変わっていないので、問題ないのではと考えています。

16時間断食で考えられるリスク

わたしはもともと、食事で得られる喜びが「とても大きい」わけではなく、また「お腹に物が入っていると集中力が落ちる」と考えているので、16時間断食に取り組みやすいタイプだったのかもしれません。

食べない時間が長くなってもつらくなかったのはそうですが、職業柄、「これを続けたら記事ネタができる」という思いが継続の下支えになっていた可能性もあります。

そこで、わたし以外の人であればこの断食にどんなリスクがあるか考えました。

食べすぎてしまう

16時間断食は逆に言えば「8時間の間は食べていい」ことを意味します。

なので、食べない時間が長くなることがつらい人はその反動で、8時間の中で食べる量が増えてしまい、結果的に食べすぎを招いてしまう恐れはありそうです。

痩せすぎてしまう

食事の回数が減ることで食事量が必要以上に減ってしまい、脂肪に留まらず筋肉まで減少、痩せすぎてしまう可能性もあるように思います。

それまでに明らかに食べすぎていて、ダイエットを目的の一つとして16時間断食に取り組む人であれば食事量をある程度減らしていいと思うのですが、わたしのように取り組む前から太っておらず、むしろ「これ以上は体重を落としたくない」という人は「食事量を減らさない」ことはポイントになるかもしれません。

16時間断食での見た目と体重の変化

わたしも断食開始前に食べていた朝食の内容を午前11時以降の食事に追加させているため、食事量は減らしていません。

結果、体重は変わっていません。

断食を始める前の10月14日が62.3㎏(身長は174.9㎝)で、開始1カ月後の11月29日が62.4㎏でした。

タニタの体組成計によると、「筋肉量」「体脂肪率」「内臓脂肪」はいずれも「標準」で変わらず、「基礎代謝量」も「多い」で変わりませんでした。

ライター庄部の16時間断食の結果

ライター庄部の16時間断食の結果上から、16時間断食を始める前の10月1日と開始1カ月後の11月29日に撮影した上半身です。体重に変化がないので当然ですが、見た目の変化もありません。

気分が不安定になる

長時間にわたって食べないことがつらいと、人によっては落ち着きがなくなりイライラするなど気分が不安定になるかもしれません。

青木氏は「できる範囲からで大丈夫。きっちり16時間、空腹時間をつくることはありません。12時間から始めても、週に1度から始めてもいいでしょう」と話し、またお腹が空いたら低糖質で塩分も少ないナッツ類を食べてもよく、水分もコーヒーや酵素ドリンクなどゼロカロリーに近ければOKとしています。

わたしも「徐々に慣らしていく」という考えには賛成です。

【追記】断食3カ月後の感想

  • 依然としてメリットを実感
  • 痩せすぎる恐れを再認識

2021年1月27日、16時間断食を始めてからちょうど3カ月が経ったので、現在の感想を追記します。

上に挙げた種々のメリットは依然として感じ続けています。なかでも、食べ過ぎを自動的に防げるのはやっぱりいいですね。

「16時間ルール」を守っていれば、夜遅くまで飲み食いした日の翌日が自動的に夕食だけになります。

飲み会などでお酒を飲むときはどうしても塩分や脂質の多い物を食べがちなので、翌日に1食抜いて調整するのはいいなと。

その一方、わたしの場合は痩せすぎる可能性があることをもう少し考えて、筋肉量を維持していく必要があると感じました。

なぜかというと、少し痩せたから。体重が1.2㎏減って61.2㎏になり、筋肉量が「標準」から「少ない」になりました。

具体的な数字は下の通り。

16時間断食3カ月後の庄部の体

16時間断食3カ月後の体16時間断食3カ月後、2021年1月27日に撮影
  • 身長 174.9㎝
  • 体重 61.2㎏
  • BMI 20.0
  • 体脂肪率 14.7% 「標準」3段階中の1段目
  • 筋肉量 49.5㎏ 「少ない」3段階中の3段目
  • 内臓脂肪 5.0レベル 「標準」3段階中の1段目
  • 基礎代謝量 1438kcal/日 「多い」3段階中の1段目
  • 体内年齢 28歳(実際36歳)

体脂肪率や筋肉量などにおける「3段階」の意味は下の写真でわかると思います。


厚生労働省が運営する「e-ヘルスネット」によると、「体重(㎏)」÷「身長(m)の2乗」で算出される「BMI」は、日本肥満学会の基準では18.5未満が「低体重(痩せ)」、18.5以上25未満が「普通体重」、25以上が「肥満」なので、今のところわたしは「普通体重」。

筋肉量も「少ない」とはいえ、写真の通り「ぎりぎり少ない」よう(時間を変えて当日と翌日に測ってみたら『標準』に変化していました)なので、現状では「痩せ」をそこまで気にする必要はなさそうです。

しかしながら一時的にせよ筋肉量が減った結果が出たことは事実なので、ちょっとは気にしていこうかなと。

昨年の11月から筋力トレーニングの回数を週に1回から2回に増やし、負荷も徐々に大きくしているので、あと3カ月は様子を見ようと思います。

まとめ

  • 体調が良くなったとは感じない
  • 肌質が良くなったとも感じない

16時間断食に取り組んだ人の体験記事には、体調や肌質が改善したと書かれているものがありますが、わたしの場合は取り組む前からそれぞれが悪くなかったので「良くなった」とは感じませんでした。

一方で先述の通り、体調面以外で複数のメリットがあり、つらくもないので当面は続けていこうと思います。

果たして本当に健康にいいのか

これについて紹介した2人の考えは自然と腹に落ちるものがありますが、もっと詳しく調べないとわかりません。

青木氏が「12時間以降にオートファジーが活性化する」と話している根拠、シンクレア氏が「食事の量と回数を減らすことで老化を防げる」と言う理由について。

2人の著書を読み込み(青木氏の本は根拠が示されていないところが散見されました)、咀嚼できたらまたレビュー記事を書こうと思います。

2人の考えが書かれた記事を下にはっておくので興味のある人は参考にしてみてください。真偽はどうあれ、読む価値はあると思います。

医療ライターの庄部(@freemediwriter)でした。

参考

「16時間の空腹」で疲れ知らず ダイエットにも効く「オートファジー効果」とは?(AERA dot.)

暴飲暴食で体がだるい人へ 今こそ「プチ断食」のすすめ(同)

老いが怖い人は「老いなき世界」を知らない(東洋経済オンライン)

科学的根拠が示す「老いなき世界」のリアル度(同)

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