あれ、鼻の脇がちょっと赤くなってる…
最初は小さな違和感でしたが、徐々に赤みが広がってきたので医療機関を受診して医師に判断を仰ぎました。
ところが、医師の指示に従っていると症状がひどくなり、写真のように眉間にも赤みが出てしまったのです。
結局、他の医師に相談して「脂漏性皮膚炎」と診断され、ステロイド外用剤と抗真菌薬の2種類の薬を塗ったことで改善しました。
今回は、医療ライター・ショウブ(@freemediwriter)が小鼻と眉間、眉毛の赤みやかゆみ、むずむず感を治した体験談を写真付きでレポートします。
顔の赤みは皮膚に出る症状の中では珍しくないものだと思いますが、それでも医師によって診断が異なりました。
- 1人の医師の意見を鵜呑みにしない方がいい場合がある
- 「おかしいな」と思ったら、違う医師に話を聞いた方がいい場合がある
今回の経験で得られた教訓です。参考にしてみてください。
目次
赤みが現われて受診するまで
鼻の脇にうっすらと赤みが現れたのは2020年の7月ごろ。
数日放置しておくと症状が広がってきたので、わたしはおでこにできたことがある脂漏性皮膚炎かと思い、そのときの治療に使ったステロイド外用剤「ロコイド」を塗りました。
ヒゲ脱毛の炎症止めとしてもらったこの薬がまだ余っていたのです。
おでこの脂漏性皮膚炎の治療レポートは下に書きました。
脂漏性皮膚炎の説明については辞書サイトから引用しました。
脂漏性皮膚炎
頭、顔面(鼻のわきや額など)、わきの下、股など、皮脂腺がよく発達し、皮脂の分泌の多い部位にできる湿疹です。
赤みのある境界のはっきりした湿疹で、皮膚がふけのように細かくむけてきます。わきの下や股のところにできると、湿った感じになります。前胸部や背中の中央部にできることもあります。
乳児と20~40歳代の人によくできます。乳児の場合は、成人よりも脂っぽいかさぶたが頭や顔にできます。
かゆみはあまりありませんが、できやすい体質があるため治ってもすぐ再発します。体調が悪かったり入浴できなかったりすると悪化します。
頭部の皮膚が細かくカサカサとむけるふけ症は、炎症症状をともなわない軽症の脂漏性皮膚炎です。―家庭医学館
ロコイドを塗り続けると2、3日後に赤みは引きましたが、それから1週間ほどするとまた症状が現れました。
再びロコイドを塗る。治る。でもしばらくするとまた赤みが出る…。
自己判断でのこの治療法で果たしていいいのか?
疑問に思ったわたしは、薬が切れたタイミングで近くの皮膚科のクリニックを受診しました。
1人目の医師「脂漏性皮膚炎ではない」
1人目の、40代後半くらいの女性医師は「脂漏性皮膚炎ではない」と言いました。
わたしの症状とロコイドでの治療経過を聞いてから、患部を目視した上でそう判断。「ステロイドを止めて様子を見ましょう」
医師によれば、わたしの症状は赤みだけで皮膚はツルツルしている。脂漏性皮膚炎の場合はぶつぶつとした湿疹やかゆみが出るから「違う」とのこと。
赤みが出たのは血管が広がったことによるもので、こうした症状はステロイドの副作用として現れることがあるといいます。
「ステロイドには一時的に血管を収縮させる作用があるので、一見、効果が出たように見えたのだと思いますが、ステロイドを長期的に使っていると今後は逆に血管が広がる可能性があるのです。
ステロイドは止めた方がいいでしょう」
「わたしの赤みはステロイドの副作用なのか」と聞いたところ、こんな返答でした。
「それはわかりません。顔が赤くなる原因不明の病気としては『酒(しゅ)さ』というものがありますが、残念ながら明確な治療法はないので、まずは様子を見るしかないと思います。
こうしたケースの場合、皮膚科ではなく美容皮膚科か形成外科の領域になります」
放置していたら症状が悪化
医師の言うとおりにしていたら、写真のように症状が悪化しました。
数日すると、鼻の脇の赤みが広がり、眉間(左右の眉の下)や眉毛の皮膚にも赤みやかゆみが現われました。
鼻の脇にもむずむずとした違和感が生じました。
2人目の医師「これは脂漏性皮膚炎」
そこで、医療機関を受診してから1週間後に別の皮膚科を訪れました。
50代後半くらいの男性医師は、マスクを外したわたしの顔を見てすぐに言いました。
「これは脂漏性皮膚炎ですね」
続けて、脂漏性皮膚炎の原因と治療方法について話しました。
「脂漏性皮膚炎はカビ(真菌)の一種である癜風(でんぷう)菌(マラセチア)が関係していると言われています。
癜風菌は肌の皮脂の多い部分に住んでいて、皮脂を食べることで生まれた分解物が炎症を起こすと考えられているんですね。
なので、今は炎症を抑えるためのステロイドとカビ対策の抗真菌薬を併用するのが一般的な治療方法です」
1人目の医師の見解と違っていたので、わたしはこれまでの経緯を話しました。
するとこの医師は、「ロコイドはステロイドの中でも弱い方なので、(血管が広がる)副作用は起こりづらいと思います」。
ステロイドと真菌薬での治療
2人目の医師の指示に従いました。
朝に抗真菌薬を、夜にステロイド外用剤を塗るようにしました。すると、徐々に赤みとかゆみ、むずむず感が和らぎ、治療を始めて6日後には平常時の状態に。
安心しました。
治療前までは徐々に赤みが広がっていっていて不安感が高まっていたので、良かったですね。
写真とともに詳しく経過を紹介します。写真はiPhone11Proのポートレートモードで撮影。加工はしていません。スマートフォンよりもパソコンの方が赤みはわかりやすいです。
治療1日目
夜にステロイド外用剤を塗ったところ、2時間後くらいに小鼻に感じていたむずむず感はなくなりました。
治療2日目
鼻のむずむず感はありませんが、眉間の方はまだかゆみがあります。赤みに変化はありません。
同日午後、朝に塗った抗真菌薬が効いたのか、赤みが少し減った気がします。
夜になると、写真の通り赤みが減ったことがはっきりとわかりました。
治療3日目
眉間の赤みはほとんど消えました。鼻の脇にはまだ赤みが残っています。
治療4日目
鼻の脇の赤みがさらに減りました。
治療6日目
鼻の脇の赤みも消えて、治療前にあった症状は全てなくなりました。
症状が消えたら薬を止めていい、とのことだったので一旦これで治療を終えます。
そして、治療開始から11日が経った9月28日現在、再発はしていません。
ただ、脂漏性皮膚炎は繰り返しやすい病気らしいので、今後も患部の変化には敏感でありたいと思います。
別の医師「皮膚の赤みでも診断が異なる場合がある」
結果オーライでしたが、なぜ今回、2人の医師で話すことが違ったのでしょうか。
別件でまたほかの皮膚科医と話す機会があったので経緯を伝えて聞いたところ、「皮膚の赤み(というメジャーな症状)であっても、医師によって診断が違うことはある」そうです。
「10人の医師が診て10人の意見が一致することがあれば、そのうち5人の医師の意見が違うことはあります。
今回、庄部さんの症状が2種類の薬で良くなったということは、脂漏性皮膚炎だったのでしょう」
1人目の医師、2人目の医師、そして3人目の医師と話した時間はともに5分くらい。
全て短時間で、それぞれの医師が話すことは断片的なので、これらの素材から素人が深く推察することは難しい。
ただ、割とよく見られる症状であっても医師によって見解が違うことがあり、医師の指示に従うことで症状がひどくなることはある、ということ。
「症状が軽い状態では判別できない可能性が上がる」ということも言えるかもしれません。
いずれにせよ、1人の医師が言うことを妄信せず、その人の方針で良くならなければ再度時期を見て相談するか、思い切って別の医師に変える必要があるのだなと。
いい経験になりました。
自己判断でもステロイドは使っていたので、今回の治療で再発をしない、あるいはしたとしても治療前に比べれば頻度が低い、ということであれば、抗真菌薬が有効だった可能性がありますね。
このあたりも興味深いので、引き続き様子を見て考察していこうと思います。
追記:スキンケアがテーマのいい本があったのでレビューしました。目からウロコがぼろぼろ落ちる良書です。
医療ライターの庄部でした。
記事内の情報、考え、感情は書いた時点のものです。
記事の更新情報はツイッター(@freemediwriter)でお知らせします。
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