「舌の表面に白い汚れがついていて気になる」「でもどうやって落とせばいいんだろう。歯ブラシだと舌を傷つけると聞いたことがあるし…」
こんなことが気になり、また疑問に思っている人もいるのではないでしょうか。
わたしもそうだったのですが、舌はさほど人に見られる部分ではないので、気にはなりつつも長く放置していました。
そんな中、
「濡れたガーゼを使えば舌を傷つけずに簡単に汚れを落とせる」
という情報を目にしました。
実際に試してみたところ「その通りだ」と感じたので、医療ライターのショウブ(@freemediwriter)が写真付きでその模様をレポートします。
舌の汚れは口臭の原因になるともいいますから、口の臭いが気になる人も参考になるかもしれません。
なお、わたしは今までに211人の歯科医師を取材しましたが、舌の汚れをテーマに話を聞いたことはないので、この記事では各種学会や大学病院のホームページ、歯科医師のインタビュー記事を参考にしました(最後にまとめてリンクを張っておきます)。
目次
そもそも舌の汚れとは
そもそも、舌の表面に張り付いている白い苔のようなものは何なのでしょうか。
これは、食べかすや新陳代謝によって剥がれ落ちた口の中の粘膜であるそうで、「舌苔(ぜったい)」と呼ばれています。
舌苔には多くの細菌が住み着いていて、これらが舌苔を構成する食べかすや粘膜に含まれるタンパク質を分解するときに嫌な臭いのするガスが発生するそうです。
「舌苔が口臭の原因になる」と言われる理由ですね。
口臭の原因の多くは口の中の汚れ
日本臨床歯周病学会によれば、口臭の原因には下の4つが挙げられるといいます。
- 口の状態
- 全身の病気
- 食べた物
- 生理的なもの
口の状態としては歯周病や虫歯、歯垢、唾液の少なさが、全身の病気としては扁桃炎や胃がん、肺がん、糖尿病などが挙げられ、またニンニクやニラなどの食べ物、起床時・空腹時、ホルモンバランスの不調といった生理的な要素も口臭の原因になり得るそうです。
これらの中で比較的原因になりやすいものは何でしょうか。
大阪大学歯学部附属病院のホームページでは「口臭があると診断された場合、その原因の約8割が口の中の病気」とあり、また口臭について複数のメディアの取材に答えている鶴見大学歯学部附属病院の中川洋一先生(口腔機能診療科准教授)は「ほとんどの場合、口臭の元となるのは歯と舌の汚れ。特に舌苔の細菌数は歯垢よりも多いので、一番の原因は舌」と話しています。
少なからず、舌苔を取り除くことで口臭が減る可能性がありそうですね。
舌苔を確実に取り除く方法とは
では、どうすれば舌苔を取り除けるのでしょうか。
わたしは過去に歯ブラシでこすったことがあるのですがうまく落ちませんでした。「舌を傷つける」と聞いたこともあります。
舌磨き用のブラシやヘラも売られていますが、同病院で口臭外来を担当する中川先生はメディアの取材に「舌をブラシやヘラで磨くのは意外と難しい」と話しています。
舌の表面には微小な突起(舌乳頭)がたくさん並んでいて、ブラシやヘラで舌の奥から手前に引くようにして磨いてもきれいになるのは毛乳頭の片側だけになりやすいというのです。
むしろ、畑を耕すように臭気物質を巻き上げることになってしまい、口臭が強くなってしまうこともあるそうです。
そこで、中川先生が「確実に舌を掃除できる方法」として推奨するのが「濡れガーゼで磨く」です。
濡れガーゼを使った舌磨き方法
- ガーゼを人差し指の幅に切って水で濡らす
- 利き手の人差し指に巻き付ける
- 舌の上を前後左右になでるように動かす
- ガーゼが汚れたらきれいな面にずらす
- ガーゼに色が付かなくなったら終了
- 最後にうがいをして舌苔を洗い流す
濡れガーゼを使った舌磨きの方法は上の通りです。
ブラシやヘラに比べて舌が傷つきにくい上、汚れを目で確かめられる点がこの方法の長所だといいます。
注意点は、舌を傷つけないために強くこすりすぎないこと。
この方法は日本訪問歯科協会もホームページで勧めています。
医療ライターが確かめてみた
では、実践してその有用性を確かめてみましょう。
こちらが、2020年5月15日現在のわたしの舌の状態です。
舌の中央部分に白い物が付着していますね。これが舌苔と言われるもの。
百円ショップで買った30㎝四方のガーゼ(4枚入り)です。
人差し指の長さに合わせて切ります。
これを水で濡らします。
利き手である右手の人差し指に巻き付けました。ガーゼが濡れているので指によくフィットします。指をぶらぶらさせても外れません。
ガーゼを舌に当てて、前後左右に移動させます。
やってみて実感しましたが、これ、いいですね。
ガーゼを巻き付けた人差し指はブラシやヘラに比べて幅が広いので、舌の広範囲に届きやすく、また移動回数が少なくて済むように思いました。当たりも歯ブラシより優しい。
ただ、舌を出したまま口を開けているのは予想以上に口の筋肉が疲れます。手早くさっさっと撫でていくと良さそう。
3分ほど撫でてみました。
わたしはそんなに舌苔が多くなかったからか、上の写真の通り、汚れは視認できませんでした。
舌苔が多いと、黄色い着色などが確認できるのかもしれません。
中川先生曰く、「舌の左右の奥に汚れが残りやすいのでそこをしっかりとやること」。
さて、結果はどうだったのでしょうか。
お、取れていますね。
磨く前と後の写真をもう一度載せます。
中央にあった白い物がなくなりました。
写真よりも直に見た方が変化がはっきりわかったので、「これはいいな」と少し感動しました。
濡れガーゼ舌磨きの長所と短所
確かにブラシやヘラに比べて舌を傷つけずに舌苔を落としやすい方法だと思ったのですが、一つ短所だと思ったのが、準備が少し面倒なこと。
磨くまでに
- ガーゼを切る
- ガーゼを濡らす
- ガーゼを巻き付ける
という3つの工程があるので、手間を減らすためにも1度にガーゼをたくさん切っておいて、「舌磨き用」としてストックしておくといいかもしれませんね。
口腔ケア用にカットされたガーゼも販売されているのでリンクを張っておきます。
まとめ
濡れガーゼで磨く方法、わたしはいいと思いました。
- 舌が傷つきにくい
- 少ない移動回数で舌の広範囲に届きやすい
- 汚れが多いときは取れたものが確認できる
- 使い捨てなので衛生的
- 費用が安価
準備が面倒に思われる可能性がありますが、あらかじめ舌磨き用にカットしたものを常備しておけば、習慣化のハードルも低そうです。
中川先生は1日1回、朝の歯磨き後に行うことを勧めています。
以上、医療ライター庄部のレポートでした。
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参考資料
虫歯予防
歯科治療・ケアレポート
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