「食後に喉の違和感があるんだけど原因は何だろう?」「逆流性食道炎? ストレス由来?」「薬を飲んだら治るのだろうか」
今回は、2年以上にわたって冒頭の症状や疑問を抱えていた医療ライターのショウブ(@freemediwriter)が、複数の薬を飲んで改善を試みた体験談を書きます。
わたしは過去、脂漏性皮膚炎や魚の目などを治療した体験レポートを書き、それぞれ改善できた結果を報告することができましたが、今回はうまくいきませんでした。
原因がわからず、薬もさほど効かなかったんですよね。
ただ、仕事柄、「選択した医療が有効でないこともある」ことがわかったのは収穫でした。
- 食後に喉が詰まった感じがする
- 痰を出そうとしても出るのは透明の粘液
- 食後30分ほど経つと治まる
医師の見解や服用した薬、受けた検査を紹介するので、上のような症状がある人は参考になるかもしれません。
目次
喉の違和感の具体的な症状
わたしは2019年ごろから、喉に起こる違和感が気になっていました。
冒頭に挙げた症状です。
「食後」というのは夕食後のみで、食事を終えた後、きまって喉がむずむずするような、詰まったような感じがするようになりました。
気持ち悪くて痰を口から出しても、出るのは無色透明の粘液。痰ではないので飲み込みましたが、そうするといくぶんかすっきりします。
これを3回ほど繰り返し、食べてから30分ほど経つと不思議と症状は治まります。
「すごく悩む」ほどではなかったのですが、長期にわたって症状が続いていましたし、また、痰を出す要領で粘液を口内に出していると喉に炎症が起きたのかときどきヒリヒリすることもあったので、かかりつけ医に相談しました。
主治医「逆流性食道炎の可能性」
わたしがかかりつけ医に相談したのは2021年1月15日。
症状を話すと、「逆流性食道炎かもしれない」とのことでした。
夕食後以外に症状が出ない、つまり、「夕食よりも食事量が少ないときに症状が出ない」ことを踏まえ、「たくさんの食べ物を消化しようと胃酸が出すぎている可能性がある」と話していました。
わたしは2018年に胃の内視鏡検査を受けたとき、「まだ気にするほどではないけど、逆流性食道炎の兆候が少しある」という趣旨を医師に言われたことがあるので、その情報も含めてそう推測したようです。
逆流性食道炎
胃液が逆流して食道に起こる炎症。ひどい胸焼け、胸痛、喉に酸っぱい液が上がって来るなどの症状がある。
食道下部の括約筋がゆるむ、食道の動きが鈍るなどが原因。胃食道逆流症の一つ。びらん性胃食道逆流症――デジタル大辞泉
胃食道逆症
胃酸を含む胃の内容物が食道に逆流する病気。胸やけ・呑酸などの自覚症状がある。
食道の粘膜に炎症が生じる逆流性食道炎と、炎症はなく自覚症状のみの非びらん性胃食道逆流症がある。GERD(Gastroesophageal reflux disease)。――デジタル大辞泉
逆流性食道炎の場合、診断を確定するためには胃カメラ(胃の内視鏡検査)を行う必要がありますが、「まずは専用の薬を飲んで様子を見てみましょうか」(かかりつけ医)。
処方されたのは下の2種類の薬です。
右が「ネキシウムカプセル」という胃酸の分泌を抑えるもの。薬局からもらった説明書によると、胃がんの原因になり得るピロリ菌の除菌にも使われるそうです。
そして左が、「モサプリドクエン酸塩錠」。消化管の運動を整えるといいます。
ネキシウムカプセルを1日1回食後に、モサプリドクエン酸塩錠を1日2回食後に飲むようにとのこと。
かかりつけ医によると、もし逆流性食道炎であれば通常、これらの薬を4週間ほど服用すれば症状が改善するといいます。
「なので、まずは2週間服用してみましょう。改善しなければまたご相談ください」
ストレス性? 次は漢方薬を服用
2週間服用して症状が変わらなかったので、再び、医師に相談しました。
かかりつけ医によると、胃酸を抑える薬でネキシウムカプセルより効果が強いものもあるそうですが、逆流性食道炎の場合、多くはこちらで効果が出るといいます。
「となると、もしかしたらストレスなどで喉に症状が表れている可能性があります。漢方を試してみましょう」
処方されたのは、「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」。
以前、別の医師が取材で「喉の違和感に悩む患者さんは意外と多い。そんな人は半夏厚朴湯が効くことがある」と話していたので、この薬のことは知っていました。
説明書によると、不安や喉の異物感、動機、めまい、吐き気、せき、しわがれ声の軽減が見込めるそうです。
これを1日3回、食前または空腹時に飲むようにとのこと。
「半夏厚朴湯は効く人には本当によく効く薬。2、3回飲んだだけですぱっと治る人もいます」
半夏厚朴湯、効いた気がしたが…
「漢方はどうだろう。効いてほしいな…」
そう思いながら飲んだおかげもあったのか、服用を始めた初日、飲んだ後に体がすっとする感じがして、食後の喉の詰まり感も和らいだ気がしました。
これは効くかも――。
そう思いましたが、初日の感想はやはり気のせいだったのか、1週間ほど経ってもほぼ変化が見られない結果に終わりました。
食べ方を変えることで症状減
しかしこの後、食べ方を変えたことで症状が軽減しました。
薬が効いた可能性もありますが、半夏厚朴湯の服用期間である2週間を過ぎても症状がぶり返さなかったので、おそらく食べ方が影響したのだと思います。
その食べ方というのは、食べている最中に、食べ物を飲み込むときは別に、飲み込むようにすること。
わかりづらいですよね。
食べ物を噛んで咀嚼し、ごくんと飲み込む。それとは別に、口の中に食べ物が入っている間、食べ物は飲み込まず、唾液だけを飲み込むようにするというものです。
これを食事中に3回くらい行うと、不思議と食事後の喉の違和感が減りました。
「そういった食べ方が庄部さんには合っていたんでしょう」と医師はコメント。
一方、「このまま治療を続けなくてもおそらく問題はないと思う」としながらも、「症状の原因が病気ではないかは気になる。念のため耳鼻咽喉科で喉の奥の方を見てもらった方がいいかもしれない」と話しました。
内科でも口の中を目視しますが、耳鼻咽喉科で小さいスコープを入れてもらい、もっと奥の方を見てもらった方がいいかもしれないというのです。
耳鼻咽喉科で内視鏡検査
2021年4月9日、かかりつけ医から勧めてもらった耳鼻咽喉科に行き、内視鏡検査を受けました。
鼻の中に麻酔薬を噴霧され、細い管(ファイバースコープ)を入れられて喉から食道の入り口まで観察された結果、「どこもきれいで異常なし」とのことでした。
胃の経鼻内視鏡検査で鼻腔に麻酔をされて管を通されるのは経験済みでしたが、やはり不快感がありましたね。
鼻の奥がツンとする状態が5~10分ほどの検査中ずっと続きました。花粉症の影響か、異物が鼻腔に入ったことへの体の拒否反応か、検査が終わって3時間くらいは頻繁に鼻水が出ました。
先生からもらった喉の奥、食道の入り口の写真です。上から1枚目が声帯が閉じているときのもの、2枚目が開いているときのものであるそう。
国立がん研究センターのサイトから引用したイラストです。とりあえず、咽頭の部分には異常がないことがわかった次第。
胃カメラで原因がわかる可能性
かかりつけ医によると、今のところ症状が出ている部位が喉なので胃カメラまではしなくていいそうですが、過去に受けた同検査の結果で「逆流性食道炎の兆候が少しある」とのことだったので、もしかしたらそれが進行しているのではないか? という疑問が残ります。
胃酸の分泌を抑える薬が効かなかったのでそうでない可能性が高いのかもしれませんが、数年後にまた胃カメラを受けて食道の状態を見てもらった方がいいかもしれませんね。
喉の違和感があって複数の治療や検査を受けたけど、結局、原因はわからなかった。食べ方を変えたら症状が和らいだので心因性?
とりあえず様子見。
こんなもやっとする経験でしたが、「こんなこともある」ということがわかったのは医療分野を取材する上で役に立つかもしれません。
医療ライターの庄部でした。
記事内の情報、考え、感情は書いた時点のものです。
記事の更新情報はツイッター(@freemediwriter)でお知らせします。
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