医療×知識

【多くが勘違い?】平均寿命の本当の意味を医療ライターが解説

自分はあと何年生きられるんだろう?

そんなことを考えるときに、「平均寿命」を参考にしている人もいるのではないでしょうか。

でも、これは間違い。

自分の年齢におけるおよその余命を考えたいときに参考になるのは平均寿命ではなく、「平均余命」です。

実は、平均寿命というのは「亡くなった人の年齢の平均」ではないんですね。

ぼくは10年ほど前の20代の半ばまでずっと勘違いをしていて、平均寿命の更新がニュースに取り上げられる度に「自分もそのくらいまで生きるのかなあ」と想像していました。

友人の中にもぼくのように捉えていた人がいたので、案外、多くの人が知らないことかもしれません。

今回は、医療ライターショウブ(@freemediwriter)が勘違いしやすい平均寿命の本当の意味を書きます。参考にしてみてください。

日本人の平均寿命は女87歳、男81歳

厚生労働省が2018年7月に発表した「平成29年簡易生命表」によると、2017年における日本人の平均寿命は女性が87.26歳、男性が81.09歳で、ともに過去最高を更新しました。

国・地域別では、女性が香港に次いで2位、男性が香港、スイスに次いで3位でした。

平均寿命は厚生労働省が毎年発表する「簡易生命表」の中に記載されていて、最初に発表されたのは1947年分のデータです。

この年における平均寿命は女性が53.96歳、男性が50.06歳で、それから男女ともに一貫して延び続けています。

「平均寿命」は「赤ちゃんがどれくらい生きるか」を示す期待値

生まれたての赤ちゃん
さて、平均寿命の本当の意味ですが、これはその年に生まれた0歳児が平均して何歳まで生きるかを示す平均余命です。

つまり、2017年における日本人女性の平均寿命87.26歳というのは、2017年に亡くなった日本人女性の平均年齢ではなく、2017年に生まれた日本人女性が平均してあと何年生きるかを示す期待値なんですね。

さらに注意したいのが、平均寿命は「その年の1年間における死亡状況(各年齢の死亡率)が今後も変化しないと仮定」(厚労省)して、算出されていることです。

実際は医療の進歩をはじめとした社会状況の変化により、年を経るほどに各年齢の死亡率は下がっていくだろうと想像できるわけですから、平均寿命は「短くてもその年齢くらいは生きる人が少なくないだろう」という性質のものであることがわかります。

平均余命も若い人ほど信頼性は下がる

「平均寿命」=その年の0歳児が平均して何歳まで生きるかを示す

「平均余命」=各年齢の人が平均してあと何年生きるかを示す

こうしたことから、自分の余命を考えたいときに参考になるのは、「平均寿命」ではなく「平均余命」であることがわかるでしょう。

厚労省が発表している簡易生命表の中には、5歳刻みで各年齢の平均余命も記されています。

「平成29年簡易生命表」によると、ぼくの年齢(34歳)に近い35歳の平均余命は46.88年。

34+46.88=80.88なので、ぼくと同い年の日本人男性は平均して81歳くらいまで生きることになります。

一方、ぼくが生まれた1984年における日本人男性の平均寿命、つまり、1984年に生まれた日本人男性が平均して何歳まで生きるかを示す平均余命は74.54歳。

やっぱり、差がありますね。

社会状況の変化によるものなのでしょう。当初の予測に比べて平均余命が6.34年延びています。

今後も再生医療やAI診断などの分野でさらに医療は進歩していくと思われるので、若い人ほど平均余命の信頼性は落ちると考えられます。

平均寿命は80代なのに、なぜ「人生100年」?

「人生100年時代」を示すアイキャッチ
こんな風に理解が進めば、「人生100年時代」と叫ばれるのも想像できるのではないかと思います。

日本経済新聞によると、「人生100年時代」と言われるようになったのは、イギリス人学者のリンダ・グラットン氏たちが書いた本「ライフ・シフト」がきっかけだといいます。

この本の中で「2007年に生まれた日本の子どもは107歳まで生きる可能性が50%ある」という研究が紹介されたことで、「今までは人生80年時代を考えてきたけど、これからは人生100年時代を考えよう」という機運が高まったそう。

また、週刊誌「週刊ポスト」によると、医療経済学者の永田宏・長浜バイオ大学教授(医学博士)はぼくが先述したように、平均寿命・平均余命の算出方法に起因する現実とのギャップを指摘し、より正確な世代ごとの寿命を出そうと、厚労省の簡易生命表をもとに平均寿命を修正したそうです。

具体的には、同い年の2人に1人がその寿命まで生きる「50%生存年齢」と、長生きの目安として4人に1人が到達する「25%生存年齢」を試算。

それらのデータによると、1977年生まれ以降の女性は、2人に1人が100歳まで生きることになります

1968年から1987年に生まれた男女の「50%生存年齢」と「25%生存年齢」の表は添付の記事の中に掲載されているので、興味のある方は見てみてください。

「人生100年時代なんて、メディアが市民をあおるために言ってるだけなんじゃない?」

以前はこんな風に思っていたぼくですが、あながち過剰な表現ではなさそう、というのがいまの考え。

まとめると、

自分と同い年の人が平均してどれくらい生きるかを考えるときは平均寿命ではなく、平均余命を参考にすること。

ただし、平均余命を参考にしたとしても先々の時代の変化を踏まえて予測されたものではないので、実際の平均余命はもっと長い。

知っておくと、ニュースが理解しやすくなると思います。

医療ライター庄部(@freemediwriter)でした。