こんにちは。医療ライターのショウブ(@freemediwriter)です。
今回は、大腸内視鏡の検査を受けるために必要な準備について書きます。
肛門から管を入れて大腸の中を観察する大腸内視鏡検査を受けるに当たっては、患者自身が事前に取り組まなければならないことがあります。
医師が詳しく観察できるよう、検査時までに腸の中を空っぽにする必要があるんですね。
そのために、
- 前日に食事制限をする
- 当日の朝に下剤を飲んで腸の中を空っぽにする
主にこの2点に、患者自身が取り組まなければなりません。
- 食事制限をしたらどんなメニューになるのか
- 下剤はどんな風に飲んでいけばいいのか
- 下剤を飲むと便はどんな風に変わっていくのか。そして、便がどうなれば検査を受けられるのか
大腸内視鏡検査を受けたことのない人の中には、これらのことが気になる人もいるのではないでしょうか。
わたしは2019年5月15日に大腸内視鏡検査を受けました。今回はその「準備編」として、写真を載せながら流れを紹介します。
下剤によって変わっていく便の写真も載せるので、見たくない人は飛ばしてくださいね。
前日に食べてはいけないものとお勧めの食材
腸の中を空っぽにするために、前日の食事は「消化の良いもの」を「軽め」にしておく必要があります。
検査を受けたクリニックから教わった注意事項はこちら。
食べてはいけないもの
- 繊維質
- 種のあるもの
- 脂っこいもの
食べてはいけない食材の例
肉、野菜、果物、乳製品、きのこ類、酒、炭酸飲料、海藻、ラーメン、そば、香辛料
まずは「肉」「野菜」「果物」がダメだと頭に入れておくといいでしょう。これらの3つが食べられないだけでけっこう制限されますよね。
消化の良いお勧めの食材
食パン、おかゆ、うどん、豆腐、白身魚
この5つを食べてもいいのはありがたい。これらを朝、昼、晩に振り分ければお腹が膨れないまでも空腹感をさほど感じない程度に当日を迎えられそうです。
「夕食は20時までに済ませておく」「いつもより水分を多めにとっておく」ことも留意してほしいことだといいます。
前日の食事の例
大腸内視鏡検査の前日にわたしが食べた食事を紹介します。
朝
朝は蒸しパンとヨーグルト。
パンの中でも蒸しパンは消化が良いそう。
わたしは過去に大腸の異常で入院したことがあって、その際に消化の良い食べ物について勉強しました。
気になるのが、ヨーグルト。
わたしは今回、「食べてはいけない食材」の中に「乳製品」と書かれていたのを見過ごしてしまって食べてしまったわけですが、後で調べてみると、「食べても良い」と記載している医療機関のサイトも複数ありました。
どっちなんだろう?
わたしが検査を受けた「ふしや内科・消化器内科クリニック」の伏谷直(なお)院長に後で聞いたところ、先生は「食べない方がいい」と話していました。
乳製品は脂肪分を含んでいて、脂肪分は大腸にとっては負担になり、便のカスが残りやすいそうです。
大腸の中に便のカスがない方が検査はしやすいわけなので、控えるようにとのことでした。
昼
昼は卵かけご飯と豆腐とみそ汁。
調べたところ、卵は食べてもいいそうです。使い勝手がいいので、卵がOKなのはうれしいですね。
夕食
夕食は取材場所の最寄り駅でうどん。
ねぎは繊維質なので本当は良くないんですが、このくらいなら…と食べました。心配な人は避けた方がいいかも。
下剤の服用は当日だけでなく前日の夜も
前日はこんなふうに食事制限をするだけではなく、夕食後と就寝前に下剤を飲む必要があります。
こちらは夕食後に飲まないといけない下剤。液状の薬10ml(ラキソベロン)を180mlくらいの水に溶かして飲みます。
180mlはコップ1杯ほど。これくらいであれば楽に飲めます。
味は感じませんでした。
飲んで10分くらいすると、おならがぷすぷすと鳴るように。
ただ、便が出るほどではなくて、おならも30分くらいで治まりました。
続いて就寝前に飲まないといけないのが、2錠の錠剤(センノサイド)。
「遅くとも夜の10時ごろまでに飲んで」とのことです。
こちらの方は飲んでもこれといった変化はありませんでした。
「夜に下剤を飲んだら夜中にうんこをしたくなるのでは?」と思う人がいるかもしれませんが、わたしの場合は便意を催すことはなく、いつも通りに眠れました。
検査当日、下剤「モビプレップ」服用
さて、検査当日の朝7時ごろから本格的に下剤を飲んでいきます。朝食は食べてはいけません。
消化器領域に特化した製薬会社「EAファーマ」が製造している「モビプレップ」という下剤です。
袋から中身を取り出します。
下剤の飲み方については事前にクリニックの看護師さんから教わりましたが、仮に内容を忘れても製品にも記載されているので大丈夫。
説明書に書かれてあるよう、製品に記されているラインまで水を入れていきます。
製品は元々、水を入れる部分と粉状の薬が入っている部分(左上)に分かれているのですが、水を一定量まで入れたら水が入っている部分を外から押すことで区分の境目が破れます。
境目が破れると左上の粉状の薬が溶け出します。
よく振って混ざ合わせます。
さらに水を注いで2lのラインまで入れ、再びよく振って薬剤を混ざ合わせたら完成。見た目はポカリスエットのように白濁しています。
けっこう多いですね。
ただ、これを必ず全て飲まないといけないわけではありません。後述しますが、「便が透明の液体になるまで」飲めばいいんです。
下剤を飲むことでの便の変化
下剤を3口飲んだだけで便意を催す
さあ、下剤を飲んでいきます。
下剤は塩気の効いたポカリスエットのような味。「まずくて飲めない」ほどではありませんが、進んで飲みたい味でもないという微妙なもの。
ここからは、便が変化していく写真も合わせて紹介していきますね。
昨日の下剤が効いたんでしょうか。起きて早々にお腹が少し痛くなっていました。
2口飲んで便意に似た感覚を覚えて、3口飲んだ後に1回目への排便へ。
このときに出たのは軟便です。
わたしは当時、軟便が出ることが多かったので、まだ特段、下剤の影響は感じません。
2回目の便で水下痢に
7口ほどでコップ1杯を飲み終えました。
説明書では「コップ1杯を10~15分で飲むよう」推奨しているのですが、7口で1杯だとおよそ2分に1口のペースで飲めば1杯を飲み切れる計算になります。
コップ3杯分を飲んだところで2回目の排便へ。
水分の多い水様便、いわゆる水下痢に変わりました。
3回目の便でコーヒーのような液体に
こつこつと飲み続けます。
コップ5杯分を飲んだところで3回目の排便へ
この段階で状態ががらっと変わりました。
固形成分がなくなって液体だけになり、薄いコーヒーのような色に。
この時点ではもう普通のうんこをしている感覚ではなくなって、お尻からシャーッとおしっこが出ているような感じです。
下剤を飲んだことのない人は、「排便の度にお腹が痛くなるのか」と不安に思うかもしれませんが、わたしの場合、若干の腹痛を覚えたのは1回目の排便時のみで、それ以降はお腹に痛みを覚えることなく、便が出ました。
下剤で便意を催す感覚は普段の生活では体験しないので説明しづらいんですが、シンプルに「あ、うんこが出そう」と思うだけ。その感覚が高頻度に迫ってくるだけで、お腹の痛みや苦しさは伴いません。
ただ、同じ味の下剤を飲み続けるのは快いものではなくて、「腸をきれいにするためだから仕方ない」と、ミッションに粛々と挑み続けているような心持ちです。
4回目の排便で尿に近い黄色に
コップ5杯分を飲んだところで、ちょうど下剤1lを飲み終えました。
「約1lを服用ごとに、水0.5l(コップ2杯半くらい)を必ず飲む」と記載されているので、今度は水に切り替えて飲んでいきます。
水を2杯飲んだところで便意を催し、4回目の排便へ。
コーヒーのような色から、起床後に出る濃いおしっこのような黄色に変わりました。
まだ透明の状態ではないんですが、既に下剤を1lは飲んだので、クリニックに電話して「色はついているけど、まだ(下剤を)飲み続けた方がいいか」と聞いたところ、「その状態でOK」とのことでした。
下剤の服用はこれで終了。かかった時間はおよそ2時間半でした。
それでも、便は出続けました。
7回目までの排便でほぼ透明の液体に
上から順に5、6、7回目の便の写真です。
ほぼ透明の液体に変化しました。
看護師さんは「黄色の状態でもOK」と言いましたが、それは下剤の服用を止めても何回かは便が出て色が薄くなっていくことを見越していたのかもしれませんね。
なので、下剤の服用を止めた後すぐに自宅を出るのは止めた方が良さそうです。
外出先で便意を催す可能性があるので、医療機関が指示した時間通りに下剤を飲み始めて、外出までに少し時間の余裕がある状況をつくっておくと良いのではないでしょうか。
わたしが下剤を飲み始めたのが午前7時ごろで、服用を止めたのが9時半ごろ。それから30分くらいは便が続いたので状態が落ち着いたのが10時ごろ。
検査の予約をしていたのが12時半で、家を出る時間が12時過ぎだったので、時間的には十分余裕がありました。
さて、大腸内視鏡の検査を受けられる状態になったので、いざ医療機関へ。
検査の模様も下の記事に詳報したので、よければご覧ください。
検査の様子だけではなく、
- そもそも日本人が大腸がんでどれくらい死んでいるか
- 検査を受けた方がいい年齢の目安
- なぜ内視鏡検査で大腸がんを予防できるのか
- 検便(便潜血検査)とどちらの方が効果が高いか
- 医療ライターが勧めるクリニック
こういった、大腸がんと大腸内視鏡検査について知っておいてほしいことも書きましたので、参考になるかと思います。
以上、医療ライターの庄部でした。
記事内の情報、考え、感情は書いた時点のものです。
記事の更新情報はツイッター(@freemediwriter)でお知らせします。
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