予防と治療

AGA治療の効果を高める2つの方法【キャリア10年の医師に聞く】

頭髪を気にして鏡を見る男性
亡き祖父ははげていました。父もはげました。ぼくにとって他人事ではない「ハゲ」。

薄くなったらしょうがないのか?

いいえ、今は薬を使った治療を受けるという選択肢があり、その効果を高める方法もあるといいます。

答えは2つ。

まず1つが、薄毛を実感してから10年以内に治療を始めること。2つ目が、治療を行う際に進行を抑える薬と発毛を促す薬の両方を使うこと。この2点が重要だそうです。

これらのことがわかりやすいように、AGA(エージーエー)の概要と診断方法、はげる仕組み、治療の方法について解説していきます。

ぼくが書くことは、AGAの治療歴10年の医師に聞いたことをもとにしています。参考にしてみてください。

この記事の内容はユーチューブにも投稿しました。見た方が、聞いた方が楽な人はこちらをどうぞ。

50代以上の半数が発症

「AGA」は、「男性型脱毛症」の英語の略称です。

大きな特徴は進行性であることで、おでこの生え際が後退したり、頭頂部が薄くなったりする症状が出て、治療を行わない限り、症状は徐々に進んでいきます

日本では成人男性の約30%に起こると言われていて、20代で10%、30代で20%、40代で30%、そして50代で40数%と、その割合は高くなっていきます。

診断方法は問診と視診

問診をする医師
AGAの診断方法について、数値を根拠にした基準は日本にはありません。医師による問診と視診によって病気かどうか判断されます。

ポイントは、①他の病気の除外、②症状が出ている部位の確認、③AGAの初期症状である軟毛化のチェック―の3つです。

脱毛症にはAGAだけではなく、一時的な円形脱毛症、自分で毛を抜いてしまう抜毛症という病気もあり、またこれら以外に甲状腺の病気や薬の影響によっても毛が抜けてしまうことがあるそう。

ですから、問診によってこういった理由でないかを確かめ、おでこの生え際と頭頂部を目で見て確認、髪の毛が細くなって軟らかくなる軟毛化が起きているかもチェックして、診断します。

原因は男性ホルモンや遺伝、生活習慣など複合的

そもそも、人間はなぜはげるのでしょうか。

医師によると原因はまだわかっていないそうですが、現時点では男性ホルモンや遺伝、生活習慣、ストレスが複合的に関連すると言われています

推測される発症メカニズムの発端となるのは「テストステロン」と呼ばれる男性ホルモン。

テストステロンがある酵素と結びついて、「ジヒドロテストステロン」という別の種類に変わり、このジヒドロテストステロンが毛根に作用することで発毛が抑制されてしまうそうです。

こうした男性ホルモンの変換作用は誰にでも起こっていますが、遺伝や生活習慣、ストレスが加わることで発症してしまうといいます。

危険因子になり得る生活習慣には、運動不足や睡眠不足、喫煙、過度な飲酒、塩分やカロリー、コレステロールの高い食事が挙げられます。

発症するとヘアサイクルが大幅に短くなる

ヘアサイクル
こんな過程をたどって発毛が抑制されるとどうなるか。髪の毛が十分に育たず、細くて短いまま抜けてしまいます。

髪の毛が生えてから抜けるまでのサイクルは、「成長期」「退行期」「休止期」の3つのステージがあり、通常は成長期が2年から6年、退行期が2週間から3週間、休止期が数ヵ月ほど続きます。

つまり、ヘアサイクルの中では成長期が圧倒的に長いわけですが、AGAが発症するとこの成長期の期間が数ヵ月から1年ほどと大幅に短くなってしまい、結果的にヘアサイクルの1周期もかなり短くなってしまうのです。

細胞分裂の回数が上限に達すると毛は生えない

細胞
「髪の毛が十分に育たなくなったとしても、絶えず生え変わり続けていれば毛はなくならないんじゃない?」

取材時のぼくのような疑問を持つ人がいるかもしれませんが、そうではないのが発毛の仕組みの怖いところ。ここで重要になるのが細胞の働きです。

髪の毛は、「毛母細胞」と呼ばれる細胞が分裂することで生えますが、細胞が分裂できる回数には限度があって、それはおよそ50回と考えられているそう。

ヘアサイクルの1周期は最短で2年間なので、2×50=100、つまり、通常は100年ほど髪が生え続けますが、AGAによってヘアサイクルが大幅に短くなると、その分早く、分裂回数の上限に達してしまいます

そのあとに毛は生えないのです。

仮にヘアサイクルが半年に短くなった場合、残りの細胞分裂の回数が最多の50回あったとしても、25年で寿命は尽きてしまいますよね。

現実的な例として、40歳で発症した場合、55歳ごろには髪の毛が生えなくなってしまうわけです。

男性ホルモンの変換をブロックする薬で治療

肝心の治療方法は薬が中心になります。

先述のように原因が複合的で特定はできないので、薬によって発症の主因と考えられている男性ホルモンにアプローチします。

薬の代表例として挙げられるのが「プロペシア」と「ザガーロ」という内服薬で、これらはともにテストステロンと酵素が結びつかないようにする働きを持つので、結果的にジヒドロテストステロンの量が減り、発毛サイクルの異常を防ぐことが期待できます。

臨床試験では、プロペシアを3年にわたって服用した患者の9割に進行抑制の効果が現れ、その中の6割に髪が少し増える「軽度の改善」が見られたそう。

ちなみに、テストステロンと結びつく酵素は2種類あり、プロペシアはその内の1種類にしか作用しませんが、ザガーロは両方に働くためより高い効果が見込めるといいます。

早期の治療開始と薬の併用がポイント

チェックポイントを指摘するイラスト
そんな風に薬を使って治療を行っていく中で、効果を高める方法として「最も大切」と医師が話していたのが、早めに始めること。

毛母細胞が数多く分裂して細胞が疲弊した状態で治療を行っても効果が出づらいそうで、薄毛を実感してから10年以内に始めると効果が出やすいといいます。

次に大事なのが、「ミノキシジル」と呼ばれる成分を含む薬も使うこと。

プロペシアとザガーロはともに進行抑制が主な目的なので、これらに加えて、血行促進や毛母細胞の活性化が見込めるミノキシジルを併用することで発毛の促進がめざせるそうです。

「プロペシアとザガーロが(増毛に)全く効かないということは少ないけど、『ミノキシジルも使わないと毛を増やすのは難しい』とこの業界では言われているね」(取材した医師)

費用は1ヵ月分が4千円~1万6千円

最後に、気になるであろう副作用と費用、治療時の注意点について伝えます。

まずは副作用。プロペシアとザガーロは性欲減退や勃起不全、肝機能の障害などが数パーセントの確率で起こると言われていて、ミノキシジルは含有量が多いほど動機やむくみなどが起こるリスクが高まるといいます。

費用について、AGAの治療は健康保険が適用されない自費なので、薬の価格は医療機関によって異なります

ぼくが取材した医師が院長を務めるクリニックでは、プロペシアのジェネリック(後発医薬品)1ヵ月分の費用が約4千円で、ザガーロとミノキシジルの内服薬1ヵ月分が8千円ほど。

効果を高めるための薬の組み合わせとしてはザガーロとミノキシジルの内服(外用薬もあるが内服薬の方が高い効果が見込めるそう)が考えられますから、計1万6千円くらいになりますね。「うちの価格は安い方」と医師は話していました。

治療を止めると再び薄毛が進行してしまう

治療を行って効果が出ない人もいるわけですが、仮に効果が出たとしてそれを感じるタイミングは2、3ヵ月後から1年後と患者によって違うそうです。

通常の発毛サイクルが2年以上あることからも、半年は治療を続けてみることを医師は勧めていました

あと注意したいのが、効果が出たとしても、治療を止めてしまうと薄毛の進行が再び始まってしまうこと。

薬を飲まないと男性ホルモンの変換が再開してしまうからです。

記事の要点

記事の要点をまとめておきますね。

  • AGAは日本の成人男性の3割に起こり、発症すると治療を行わない限り進行してしまう。
  • 発症すると発毛サイクルが短くなり、生きている間に細胞分裂の上限に達すれば二度と毛は生えない。
  • 治療効果を高めるために最も重要なのは早く始めること。目安は薄毛を実感してから10年以内。
  • ミノキシジルが含まれた薬を併用することで発毛促進の効果もめざせる。
  • 健康保険が適用されないため、費用は医療機関によって異なる。価格が低いケースで単剤が月に約4千円、ミノキシジルを併用すると月に約1万6千円。
  • 効果が出たとしても治療を止めてしまえば再び薄毛は進行する。
  • 副作用が起こる可能性もある。

庄部であればどうするか

AGAの治療は経済的な負担が軽くありませんが、薄毛に悩んでいてお金に余裕のある人であればチャレンジしてみる価値があると思います。

ぼくであればどうするか。

40代、50代になればまた考えが変わるのかもしれませんが、今のところははげたくないので、「あれ?」「どうも髪がおかしい…」と思ったら早めにAGA治療に力を入れている医療機関に相談します。

というのも、人目に目立つようになってからだと発毛促進をめざしたくなる、つまりミノキシジルを併用した方がいい可能性が高くなるので、「人から見ればそんなにはわからないけど、自分では違いに気づいている」タイミングで治療を始めるといいかと。

進行抑制の薬だけを服用して効果があれば、経済的な負担を大きくしないで済みそうですよね。

まあ、自分の微細な変化に気づくのは思う以上に難しく、髪のことは人も指摘しづらいから発見が遅れる可能性が低くないわけですが…。

薄毛に気づいたら、医療機関を受診してその模様を書きたいと思います。